気化性防錆紙

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機構と特長 品種と対象金属・構成図 製品一覧表と価格表 気化性防錆紙の注文

防錆機構

(1)防錆剤の気化、吸着作用

紙に塗布または含浸されている防錆剤は、常温で徐々に気化(昇華)し、その蒸気は密閉された空間をすみやかに充満します。
このように固体から液体を経ず直接に気体となる現象は昇華と呼ばれ、身近な例としては防虫剤として広く使われているナフタリンが知られています。この気化した防錆剤は、鉄表面の極めて薄い水被膜中に溶解し、さらに鉄表面に物理的、化学的に吸着し「防錆被膜」を形成します。この防錆被膜は、鉄を錆の原因となる外気から遮断し錆への変化を防ぎます。この気化性防錆剤による防錆被膜は、膜厚保が極めて薄く、鉄表面への吸着力が弱いため、鉄表面に外観上の変化を与えないことはもちろんのこと、鉄地の減少等の変化もないという特徴があります。したがって防錆包装後の鉄製品は、表面を洗浄することなく直ちにご利用いただけます。

防錆紙によって密閉された空間における鉄表面への防錆被膜の形成

(2)防錆剤の吸着による防錆被膜の形成

防錆剤の鉄表面への吸着機構には二つあり、その一つは物理吸着で、他の一つは化学吸着です。いずれにしても図−3のように、鉄の表面に目に見えない防錆剤の単分子膜層の防錆被膜を形成して防錆するものです。この分子は鉄と強固な結合をしているのではなく、鉄表面についたり離れたりしているもので、離れた際にすぐに吸着すべき待機分子が必要です。

鉄表面への防錆剤の吸着機構

また鉄表面に吸着する原子団は、水に溶解しやすく(親水基)、鉄表面の水被膜中に入り込み鉄表面に吸着します。このような吸着能力をもつ原子としては窒素(N)、酸素(O)、リン(P)、イオウ(S)等がありますが、気化性防錆紙用として実際に使用されているのは、主に窒素原子(N)をもつ化合物で、その代表がアミンです。
鉄に吸着して防錆力を発揮し、しかも気化性をもっているアミンは多数存在しますが、気化性防錆紙の防錆剤として実際に使用されるには、鉄に対する優れた防錆力のほかに
 イ、適度な蒸気圧(気化性)…初期防錆力および長期防錆力に影響
 ロ、薬品の安定性
 ハ、非鉄金属、非金属に対する影響
 ニ、毒性

等を考慮する必要があります。
一方、銅に対する防錆機構も基本的には鉄と同じ防錆被膜の形成によるものですが、防錆被膜は吸着作用によるものでなく、一般的には、金属と防錆剤との化合物の形成によるものとされています。

特徴

気化性防錆紙にはつぎのような特徴があります。

使用している防錆剤は、適度な気化性がありますので、簡便に防錆包装(梱包)ができ、直ちに防錆効果が発揮されます。しかも開封後すぐに製品の使用が可能です。
防錆剤はすべて社内で製造管理されており、ベースペーパーは発錆の要因となるpH、塩素イオン等が管理された防錆紙専用の原紙が使用されております。
軽包装から重包装にいたるまで各種用途に応じた構成の製品が用意されております。
防錆油を併用することなく高温多湿下でも優れた長期防錆効果が得られます。
鉄鋼用をはじめとして、各種金属に適した防錆紙が用意されております。

冷廷コイルの梱包


AZVCI クロス重合紙を使用

 

ティンフリー鋼板の梱包


AZVCI 100gを使用


安西産業株式会社
茨城県鹿嶋市光3番地 住友金属構内
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